人事部門で働くことは、多くの人との接触を伴い、企業の重要な役割を果たすため、外部から見ると魅力的に映ることもあるでしょう。しかし、人との接触が頻繁にあるため、様々な問題に遭遇することも少なくありません。
ここでは、あまり知られていない人事の業務の難しさを7つのポイントで解説します。
予想外の難易度!?リモートワーク
新型コロナウイルス対策としてリモートワークを推奨する企業が増えていますが、接客業や営業のような対面業務にはリモートワークの限界が存在します。
一方で、人事や総務のようなオフィス中心の業務はリモートでの実施が可能だと一般には思われがちです。しかし実際には、オフィスに保管されている資料の確認、紙ベースの作業、個人情報の扱いなどがあり、完全なリモートワークは難しいのが現実です。
上司の承認が必要な場合には出社することもあります。これらの課題を克服するには、ペーパーレス化を推進し、電子化できない書類の確認作業なども考慮に入れ、出勤が必要な業務を効率的に計画することが求められます。
メンタルヘルスに関する相談の増加
働き方改革の推進に伴い、各部署からメンタルヘルスに関する相談が増加しています。
特に、個人的な悩みや人事部だけでは解決が難しい問題、上司のパワハラやセクハラなど、法的な問題へと発展する可能性のある事案も増えています。
中でも、うつ病などの精神疾患を持つ社員がいる場合、話を聞くだけでなく、業務の再配分、代理人の選定、新たな採用の必要性など、細かな判断を下す必要があります。
元の部署への復帰が困難な場合は、人事部が異動先の選定や交渉を行うこともあります。これらは目に見えないものの、人事部の重要な業務の一部です。
部門間コミュニケーションの課題
人事部門は、企業内の他部門と密接に連携する必要があります。しかし、個人情報や給与情報などの機密事項を取り扱うため、他部門との深い関係を築くことには困難が伴います。特に人事評価の際には、評価が社員のキャリアに大きく影響を与えるため、他部門との連携には特に注意が必要です。
社内イベントや飲み会では、個人情報の漏洩リスクを考慮し、参加するかどうかを慎重に判断することが求められます。
また、社内恋愛が発生した場合でも、プライベートであっても職務上の配慮が必要で、会話の内容にも注意が必要です。人事は人との繋がりが重要な職務でありながら、孤立しやすい立場になることもあります。
このような状況を軽減するため、同僚とのコミュニケーションや気分転換のための外出などが大切になります。
面接時の制約
法律により、面接時に特定の個人情報を質問することは禁じられています。このため、人事担当者は面接中に緊張を感じることが多く、出身地や家族構成、健康状態などの質問を避ける必要があります。
尊敬する人物や思想に関する質問も制限されています。
これらの情報が入社後の業務に役立つ可能性があっても、法的制約により質問できないため、面接では表面的な質問にとどまることが一般的です。
不適切な質問は法的問題や企業のイメージに悪影響を及ぼす可能性があるため、質問の選定には慎重さが求められます。
モチベーション維持の困難
人事部門では、具体的な数値目標を設定することが難しく、その結果、上長からの評価も曖昧になりがちです。そのため、どのように努力し目標を達成すれば良いのかが不明瞭になり、モチベーションの維持が困難になります。
しかし、自身が関わった採用者が活躍する姿を見たり、社内の問題を解決し感謝される瞬間は、人事業務の価値を感じる貴重な瞬間です。
これらの小さな成功体験が、人事担当者としてのモチベーションを支えています。
退職勧告に伴うストレス
人事部門では、業績不振や個人的な事情により、従業員に退職を勧告する必要が生じることがあります。このタスクは人事にとって極めてストレスの高い仕事の一つです。対象者が退職勧告の可能性を事前に察知している場合、プロセスはスムーズに進行することもありますが、そうでない場合は、対応の仕方によっては相手の怒りを引き起こすリスクがあります。
退職勧告は頻繁に行う業務ではないため、交渉技術を磨く機会が限られており、人事にとって大きな負担となります。これを軽減するために、社会労務士などの専門家の協力を求めることが、業務の負担を減らす方法の一つです。
労働組合との交渉
労働組合は法律によって様々な権利が保障されており、特に「団結権・団体交渉権・団体行動権」の行使に際しては、人事部は最大限の注意を払う必要があります。交渉に臨む際、人事は誠実な対応を心掛け、不適切な返答や態度を避けなければなりません。労働組合との交渉は、退職勧告以上にストレスが高いとされる業務です。
まとめ:人事業務の負担を軽減する方法
人事部門が直面する様々な困難な業務を挙げてみました。全ての業務の負担を軽減することは難しいかもしれませんが、改善策によって負担を減らすことは可能です。
例えば、書類関連の業務はペーパーレス化を進めることで、出社の必要性を減らし、作業時間を短縮することができます。
業務の負担を少しでも軽減するための方法を探求することが重要です。